　松谷化学工業は、創業以来「社員は家族」との想いを大切に守り続けてきました。時代とともに「家族」の形態が変化し、価値観も多様化しているため、以前のように「家族」を画一的にとらえた施策では、全社の一体感を保つことが難しい時代となりました。「社員は家族」というその伝統を次世代に継承するため、変化を恐れず新たな一歩を踏み出しました。

寺園裕之（テラゾノヒロユキ）

執行役員　人事部長

2000年、松谷化学工業（株）に中途社員として入社。４直３交替の製造オペレーターとしてアルファ澱粉工場に12年勤務、その後同工場係長を経て、2016年人事部へ異動、現在に至る。

01. でん粉一筋で「人々の生活を支える」

───　松谷化学工業とは、どのような会社でしょうか？

　当社は、1919年の創業以来「でん粉」一筋の会社で、加工でん粉、澱粉分解物（糖化品）、食物繊維等の製造販売を行っています。また、新しい事業として、希少糖事業にも取り組んでいます。多くの食品の食感改良や品質保持・向上の目的で「でん粉」が使用されています。「もちもち」「しっとり」「サクサク」といった食感は、「でん粉」のチカラになります。

　食品以外にも、化学メーカー・製薬メーカー様との取り引きもあり、皆さんの身近なところで数多く使用されています。人々の生活を縁の下で支える事業を展開している会社です。

───　松谷化学工業で採用している新卒入社者の初期配属とキャリアについて教えてください。

　初期配属は、研究職・品質管理職・営業職が多くなっています。採用面接において希望職種を伺っていますが、入社いただく方と配属先の人員構成や先輩社員、その方の将来のキャリアをイメージしながら、初期配属を行っています。希望職種への配属が必ず正しいとは考えていません。

　入社後、さまざまな部署と関わりながら、自身のキャリアを考えてもらえるような配属、ジョブローテーションに繋げていけるよう取り組んでいます。初期配属から数年後に人事部へ異動となり、採用担当として活躍している社員もいます。一つの職種に拘らず、さまざまな経験から自身の視野を広げて成長してほしいと思っています。

　文系学生の方より、食品素材のBtoBメーカーに入社して、活躍することはできますか？という質問もよくいただきます。文理問わず活躍できる環境・職場は整っていますので、是非エントリーいただきたいと思います。私も文系出身ですが、こうして20年以上勤務し続けることができました。

02. 社員一人ひとりが仕事もプライベートも充実した会社を目指して

───　松谷化学工業は、どのような社風でしょうか？

　社内では、役職・年齢・性別など分け隔てなく意見が言える職場が多く、社員も比較的穏やかな方が多いと思います。そのような中、社員一人ひとりの思いを全て叶えることはできませんが、やりたいことに挑戦できる環境も整っていると思います。

　新卒入社２年目に「フレッシャーズビジョンWORK」という研修が行われるのですが、『会社をよりよくするために』をテーマに「業務改善アイデア」「新ビジネスアイデア」などを２年目社員が企画し、社長へプレゼンを行います。過去には、「食堂から松谷ファンを」として、社員一人ひとりが自社製品（でん粉製品、希少糖製品など）への理解を深めようという提案のもと、社員食堂の昼食メニューに自社製品を使用した「Ｍ（Matsutani）定食」の提供が行われました。この取り組みは、現在も継続されており、定期的に食堂のメニューに組み込まれています。また、そのほかに「企業ファン作りの時代へ」として、新たな価値を生み出す新規事業を目的とするオープンイノベーションプラットホームの利用が提案され、提案者３名が中心となり先輩社員のサポートを受けながら、新しい取り組みを開始しております。

　まだまだ始まったばかりの取り組みですが、こうした研修を通して芽生えた新たな芽を摘むことなく、しっかり育てていきたいと思います。

───　ワークライフバランスを実現するために大切なこととは、どのようなことでしょうか？

　当社では、今ほどワークライフバランスへの取り組みが注目される前と現在で、働き方が大きく変化していません。もちろん法改正による制度改定は実施していますが、社員の働き方や意識に大きな変化はないと感じています。「ワークライフバランスの実現」は、部署や世代の垣根を越えた社員同士のコミュニケーションを軸に、お互いを思いやり、尊重する。この一点に尽きるのではと考えます。そういった観点から、社内コミュニケーションを活性化するための社内イベントなどは開催されています。

　現在は、コロナ禍で開催できていなかった社員旅行を計画中です。また、秋には職場ごとに美味しい食事やお酒を楽しんでいただくレクリエーション（通称「秋レク」）、お正月には全社員がホテルに一堂に会し、新年食事会も開催しています。社内には、いろいろな趣味を持っている方も多く、「釣り」「ゴルフ」「フットサル」「軽音」「野球」「華道」など、部署を越えて集まり、楽しんでいる社員が多くおられます。

───　人事部長として、寺園さんはどんな取り組みをしているのでしょうか？

　社員一人ひとりの価値観は多様化しています。「お互いの置かれている立場や背景を理解、尊重し、認め合う」「仲間の成長のために汗をかく」ことのできる社員を理想に、新たな制度づくりや取り組みを始めていきたいと考えています。世の中は、VUCAと呼ばれる時代に突入し、将来の予測が困難な状況になっています。こういう時代だからこそ、部署・年齢・役職、あらゆる垣根を越え、当社で働くすべての人が、同じ方向を目指して挑戦することが大切であると考えています。

　最近では、「有給休暇最大23日付与」「社内大学開校（MATSUTANI ACADEMY）」「奨学金返還支援制度導入」といった取り組みを開始しました。

───　有給休暇制度、社内大学、奨学金返還支援制度の導入理由を教えてください。

　会社は、社員がいるからこそ成り立つ組織です。社員一人ひとりが安心して、いきいきと働いてほしいという思いが一番です。高度経済成長期のような画一的な制度や考え方ではなく、多様化する現代社会だからこそ、会社制度や福利厚生も多様化し、さまざまな背景を持つ社員を援助すべく、制度導入を行いました。

①有給休暇付与日数の増日

　有給休暇は、比較的取得し易い環境でしたが、ここ数年取得日数が高止まりしていました。付与日数を増日することで、今以上に有給休暇取得を歓迎する風土やサポートし合える環境づくりがなされ、組織の活性化につながってくれることを期待しています。

②社内大学の開校

　社員一人ひとりが「学び合える場」「教え合える場」として、社内大学を開校しました。『伊丹本社の工場見学ツアー』や『今さら聞けない！決算書の見方』など、多数のカリキュラムを立ち上げ、社員自身が講師となり、学生となります。日常の業務では触れることのない他部署の業務や会社のことをより深く知ることで、お互いの状況をおもんぱかり、助け合う機運が育つことを期待しています。

　また、共に育ち合うことで「社員一人ひとりがお互いを尊重し、自らのキャリアを考え成長できる組織風土」の実現を目指しています。

③奨学金返還支援制度の導入

　日本学生支援機構や労働者福祉中央協議会アンケートによると、約５０％の大学生のみなさんが奨学金を利用しており、平均借入額は約３１０万円、返済期間は約１５年との調査結果が出ております。

　社会人となりこれからキャリアを積んでいくにあたり、当社で安心してイキイキ働いてほしい。奨学金の返還支援を受けることで、自己研鑽・キャリア形成・私生活の充実を図り、人として一回りも二回りも成長してほしい。そんな思いで若手社員のサポートを行う福利厚生の一つとして、２０２４年４月より制度導入しました。

　社員も入社から、３０代、４０代、５０代と生活環境が変化することで、いろいろなハードルが存在します。結婚して家庭を持つ方や、ご両親の介護をされる方、想像したキャリアとは違う道を歩む方など、自身の背景に「どのようなバックグラウンドがあろうが、松谷化学工業であれば活躍できる環境がある」そんな会社、環境づくりに取り組んでいきたいです。

03. 何事にも一生懸命な方と次の100年を築きたい

───　松谷化学工業が求める人物像を教えてください。

日ごろから感謝の気持ちを忘れず、多様な価値観の中でお互いに協力できる方です。

　学校を卒業して社会に出るまで、決して一人で歩んできたわけではありません。ご家族、友人、先生をはじめ、多くの方々の支えがあったことを忘れないでほしいと思います。会社だけではなく、日ごろの生活の中でも常に感謝の気持ちを持っている方と一緒に働きたいと思います。例えば、外食をしてお会計をする際に「ごちそうさまでした」や「美味しかったです」など、自然に心からお声がけできる方は、素敵だなと思います。

　また、伸び伸びと豊かな発想で日々の業務にあたり、変化を楽しめる方とも一緒に働きたいと思います。平坦な道のりではなく、山あり谷あり、一緒に歩んで行ける方がいいですね。

───　最後に、松谷化学工業に応募される学生の皆様にメッセージをお願いします。

　就職活動に正解はないと思います。会社によって福利厚生や待遇面の違いは多少なりともあることは事実ですが、入社した会社を自らの行動で正解とする気持ちが大切だと思います。表向きの情報だけにとらわれず、本質を見ることを怠らないでください。

　自身の就きたい職種、業界のみに焦点を絞るのではなく、世の中を広く見てください。もっとやってみたいこと、楽しいことが見つかるかもしれません。まだまだ無限に広がる可能性を狭めるようなことはしないでほしいなと、思います。

　また、新卒採用は「縁」だと思います。会社、人事担当者、OB・OG、さまざまな縁があります。人との出会いは、何かの縁があって生まれます。その縁を手繰り寄せる努力と感性を磨くことには時間を使ってください。ただ待っているだけでは、縁は訪れないかもしれません。　　

　当社では、採用でお会いした学生の皆様と真摯に向き合い、一人ひとりとじっくり会話をする中で、皆さんの人生にとって松谷化学で働くことが本当に幸せなのかと、自問自答しながら採用活動を行っております。

　このような松谷化学で、私たちと一緒に歩んでみようと思われた方は、是非ご応募いただきたいと思います。人事部一同、皆さんとお会いできることを楽しみにしております。

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